◎「大学生と言ったら下宿」の時代があった。
こんにちは。
長野県松本市の浅間温泉という温泉街で戦後すぐに建てられたレトロな下宿の建物をシェアハウスとして運営しています篶竹荘です。
シェアハウスと言っていますが、もともと下宿だった建物を利用していますので、暮らし自体は下宿生活に近いのかもしれません。
シェアハウスと下宿の違いについては私も明確な違いが分からないのですが、シェアハウスはコミュニティ重視、下宿は家賃の安さ重視・・・だとすると、篶竹荘はどちらの側面もあるんじゃないかなと思っています。
そんな篶竹荘ですが、自分も移住者である経験から主に移住者に気軽に移り住んでもらおうと始めたのですが、最近は大学生からの問い合わせも増えています。
大学生と言ったら下宿やシェアハウスより一国一城の主になれるアパートの方が好みなんだろうなと思っていたので問い合わせが多いことを意外だと思っていました。
しかし、昭和くらいまで「大学生になって親元を離れると言ったら下宿」「単身世帯が一人暮らしするなら下宿」という時代がありました。
もしかして現在は一周して下宿や今風の言い方であるシェアハウスが注目されているのかもしれませんが、昭和まではそれが当たり前だったのです。
そうしてみると、「大学生が一人暮らし=アパート」の時代にちょうど大学生だった私の方がマイナーな考え方なのかもしれません。
◎信州大学と浅間温泉。なぜ浅間温泉に下宿が多かった?
松本が舞台の随筆、北杜夫の「どくとるマンボウ青春期」に昭和10年代ぐらいの松本での大学生の暮らしぶりが出てきて興味深いですが、みんな寮とか下宿に住んでいます。
当時から浅間温泉に学生下宿があったかは定かではありませんが、その10年後ぐらいの昭和20年代には篶竹荘の前身「上條下宿」が今の場所に建てられたので、昭和初期のころから信州大学(旧制・松本高等学校)の学生が住むための下宿が浅間温泉には点在していたのだと思われます。
でも、現在の信州大学のキャンパスは浅間温泉から1~2㎞と近くに移転したのですが、当時の旧制松本高等学校は現在のあがたの森。
篶竹荘からの距離を測ってみたら4.2㎞。歩いて1時間ほどの距離でした。
それでも、なんで浅間温泉に学生下宿が点在していたのでしょうか?
これは推察ですが、全国各地の温泉地には文人墨客がよく逗留しています。
浅間温泉もアララギ派発祥の地などと謳っていて「野菊の墓」の伊藤佐千夫などが逗留していました。
片田舎の松本市内で温泉地は都会の知識人が集まる場所だったのだと考えられます。
そうなると旧制高等学校の学生だって知識階級ですから自然と温泉地に集まって、そこに住むようになったんじゃないかなと思っています。
温泉地は住み込みで働く人も多いですから、最初のころは学生下宿がなかったとしても、そういう住み込み部屋の空き部屋などを借りて住み始めちゃうこともできたわけで、そこから浅間温泉が信州大学の学生のための下宿が増えた一員なのではないかと考えています。
一時期、全国で(それなりに古い戦前くらいの)大学と温泉地が近い都市を探してみたことがありますが、道後温泉-旧制松山高等学校(現・愛媛大学)、湯田温泉-旧制山口高等学校(現・山口大学)、別府温泉―別府大学、そして浅間温泉・美ヶ原温泉・横田温泉-旧制松本高等学校(現・信州大学)くらいしかありませんでした。
全国的に見ても信州大学と浅間温泉、そして下宿の関係が珍しいことが分かります。
◎大学生とシェアハウス・下宿の親和性
さて、そんな大学生と下宿・シェアハウスですが、どうして一時期を除いて大学生と言えば下宿なのでしょうか?
それは大半が親元を始めて離れての一人暮らしということの絶妙なバランスなんじゃないかと思うわけです。
下宿・シェアハウスと言っても基本的な生活は1人暮らしとなんら変わりがありません。
そこに、協働住宅特有の特徴「アパートと違って住民同士はお友達」「管理人が常駐している」などが加わってくるわけです。
それが、初めての一人暮らしには「ちょうどいい」んじゃないかと思うのです。
研究室に入ったり、サークルに入ったりで友人はたくさんできるかと思いますが、それとは違ったコミュニティが下宿・シェアハウスと言う形でもう一つ増える。
場合によって学生下宿でない場合はそれは社会人だったり、もしかしたら高校生だったりするかもしれないわけです。
いろいろな人たちと知り合いになれるのは下宿・シェアハウスのいい点です。
また、きちんと管理がされている下宿やシェアハウスの場合は管理者が常駐していたり、頻繁に出入りしているので、ちゃんとした施設を選べば親御さんから見ても安心な住居スタイルとなります。
そして、水回りが共用などのため、アパートと比べて比較的安価な点も挙げられます。
そう、大学生とシェアハウス・下宿は親和性が高いといえるわけです。
親元を離れても頼れる大人がいるというのは結構心強いんじゃないかと思います。
◎一周回ってレトロな下宿・シェアハウス暮らしをしたい大学生が増えている。
そんな大学生×下宿・シェアハウスのソフト面なメリットだけではなく、レトロな建物に住みたかったと問い合わせをくれる大学生も増えています。
現在残る下宿の建物は平成時代の「下宿不遇の時代」を辛うじて生き延びた貴重な建物です。
篶竹荘のある浅間温泉にも私が大学生のころにはもっと下宿の建物が残っていましたが、現在は数えるほどになってしまいました。
今後数十年残っているとも限りません。
なんなら、こんなレトロな建物に住めるのは後にも先にも今しかないのかもしれません。
篶竹荘も2015年に下宿の建物を引き継いでから毎年それなりのメンテナンスをし続けています。
古いからこそメンテナンスをし続けなければなりません。
少なくとも昭和年代前半に建てられた建物は減りこそすれ増えることはありえません。
現代の気密性の高い家と比べたら、土壁漆喰の家は断熱性能で劣ります。
ただ、木の味わいや長年使い込まれた廊下のツヤなんかは一朝一夕ではでてきません。
そんなちょっと不便でもいいからレトロな建物に住んでみたい方は下宿・シェアハウスのなかでも、下宿の方が楽しいのかもしれません。
そんなわけで今回は大学生と下宿、ちょっと踏み込んで信州大学と浅間温泉の下宿について書いてみました。
推察は間違っているかもしれませんので悪しからず。
※篶竹荘「ブログ」について
◎【お知らせ】やっと住み分けができた当ブログ。
「下宿・篶竹荘」は長野県松本市の中心市街地にほど近い温泉街「浅間温泉」にある下宿・シェアハウスです。
会社にするまでもなかったのについつい会社化してしまった合同会社SumSumが運営しています。
さて、そんな篶竹荘ですが、色んな所に遊びに行ったりできる下宿とかあればいいなと思って始めた「第2ペンギン荘」と合同会社SumSumにもブログがありまして、それらのブログ間で住み分けが全くできておらず、最古参ブログである篶竹荘のブログが一番迷走していました。
「ふだんの脚色しない暮らしを見てもらいたい」という思いで書いていたつもりでしたが、逆にそのせいでまとまらない投稿ばかりに。。
もうちょっと他のブログとも差別化した特色ある投稿を・・・と考えていたのですが、よく考えたらInstagramにていつも投稿していることを思い出しました。
ただ、Instagramは短い文章で、もっと気軽に投稿しています。
そのため、タイムリーな感じやより自然な浅間温泉での日常を見てもらうにはInstagramを見てもらった方がいいと思うのですが、テンション上がりすぎてハズレの投稿もちらほらと。
そうだ!それならInstagramに投稿した中で人気だったやつ(不人気じゃなかったやつ)を精選して、短い文章で書ききれなかったことを、篶竹荘のブログで書けばいいんだ!・・・と思いついたのです。
◎それぞれのブログの特徴は・・・
もうほとんど同じ人が書いているので、隠しきれない個性はそのままに、ちょっと違う書き方で「日常」をテーマに書いています。
併せて読んでいただけると、より長野県や松本での暮らしが立体的に知っていただけると思います。
●篶竹荘「ブログ」
→「ぽん」のInstagramをもとに「より詳しい」日常、ふだんの暮らしを中心に投稿します。
→月に1度くらいを目安に篶竹荘が目指したい下宿・シェアハウス像みたいなお話も。
●第2ペンギン荘「お知らせ・ブログ」
→第2ペンギン荘のマスコット「第2ペンギン」がいろいろやってみる”てい”で書いています。
→一番DIYについて書いているかもしれません。
●合同会社SumSum「おしらせ・読み物」
→もっともカタい文章を書いています。
→もっとも時間をかけて書いているため、もっとも読みごたえがあります。
→「ふつうの暮らし」「日常」をちょっと楽しくする提案やデータなどをもとにした考察みたいなのも。
→自分にとっての「快適な暮らし」を求めている人にとって何かのきっかけになったらいいなと思い書いています。
●Instagram「第2ペンギン荘」
→第2ペンギン荘を中心とした日々の暮らしを。
●Instagram「ぽん(篶竹荘と第2ペンギン荘)」
→篶竹荘を中心とした日々の暮らしに加えて、”ぽん”の個人的な趣向もたまに載せ、ほとんどの人に賛同を得られない・・・ということもしばしば。。