その昔、「篶竹荘」が「上條下宿」だった頃。

◆8年やって近所の人から聞いた「上條下宿時代」のお話をば。

昭和20年代から「上條下宿」として下宿屋さんをやっていた現・篶竹荘は、当時の面影をおもいっきり残した超レトロな施設です。

もちろん、水回りやリビングなどはきれいに直していますが、各部屋の間取りとかは当時となんら変わっていません。

篶竹荘は2015年から始めたので2023年現在8年目と言うことになりますが、松本や浅間温泉に住んでいると自ずと当時どんな下宿だったのか、などの話が耳に入ってきます。

ここはひとつ聞いたお話や知ったお話をしてみたいと思います。

◆80代のおじいちゃんの話。

何年か前、庭の掃除をしていたら、80代くらいのおじいさんに声を掛けられた。

「また、下宿にしたのか」と。

当時、おじいさんが高校生だった頃、・・・なので60年前くらい、下宿に信州大学の医学部生がたくさん住んでいて、そこによく麻雀をやりに遊びに来ていたとのこと。

◆上條下宿を建てた杣棟梁(そまとうりょう)の息子の話。

棟梁には昔、ふたつあった。

大工棟梁と杣棟梁。大工は建物を建てる棟梁。杣は木材を山中から切り出し、選定する棟梁。

篶竹荘の屋根裏に一度登った時に、梁に大きく杣棟梁と棟梁の名前が書いてあった。

杣棟梁の名前を見ると今も松本で林業の会社をやっている「柳沢林業」と同じ苗字が。

気になって聞いてみると先代が若かった頃の仕事だ!・・・とのこと。

70年も前のお話。

◆瓦に残る武田菱。

篶竹荘の瓦には「武田菱」があしらわれている。

これは直接聞いたわけでは無いが、上條下宿の方は武田家の関係なのかもしれない。

浅間温泉は松本城主の奥座敷として機能していて、武士関係の人も多く住んでいた流れを汲んでいるから多分何かしら由来があるのだと思っている。

◆彼女が住んでた銀行員。

県内の銀行に勤める人と話していたら、昔、上條下宿だった頃、彼女が住んでいた・・・とのこと。

◆上條下宿が親戚のお家だった人。

「懐かしくて見に来た」とこれまた庭の掃除をしていたら声を掛けられた。

上條下宿だったころ、いとこ同士の関係で、よく遊びに来ていたとのこと。

せっかくなので中を見ていただいた。

台所周辺以外はほとんど変えてないですよ、と。

◆50年前通帳を落として行った人。

上條下宿から下宿を引き継いだ篶竹荘。

建物の歴史は約70年ということなので、たまに当時の遺物が発掘されることがある。

作り付けのタンスの滑りが悪くなったので、蝋でも塗ろうと引き出しを取った時、奥から郵便局の通帳が発掘された。

貯金額を判子などで押すタイプの蛇腹式の昭和40年代の通帳である。

見ると残額がある。

どうしようかと思って郵便局に拾った、と連絡すると「持ってきてください」とのこと。

浅間温泉郵便局に持ってく。

・・・と古すぎて受け取れない・・・とのこと。

なんと!!

仕方がないので浅間温泉交番にもっていく。

通帳に書かれていた住所などをもとに実家の連絡先が分かって電話してみると、お母さん(多分現在90代)が出てくれたので、その旨話すと警察が届けてくれるとのこと。

当時通帳を忘れて行った人は今多分70代。

50年前の通帳なんかいらないかもしれないけれど、とりあえず持ち主に返すことが出来てよかったと思う由。

◆証明写真を忘れて行った彼。

通帳と同じ感じで柱の隙間から昭和40年代の証明写真が発掘されたこともある。

裏には名前が書いてある学ランを来た白黒の写真だ。

就活にでも使ったのだろうか?

今となってはなんのために撮った写真なのかはわからない。

◆今も松本でお菓子屋さんをやっている元・住民

松本マフィンの旦那さんは昔、上條下宿に住んでいたとのこと。

おばちゃんが怖かったらしい。

今も松本市に住み、あがたの森の近くで美味しいお菓子を作っている。

◆向かいの元・旅館の女将だったおばあちゃんの話。

篶竹荘の向かいには北大湯という元・旅館に90代のおばあちゃんが住んでいる。

たまに草刈りしたり、銀行に行ったりお手伝いをしているのだけれど、そんなさなか、話を聞くと、まだ旅館をやっていたころの繁忙期は上條下宿の学生たちに声をかけて旅館を手伝ってもらっていたとのこと。

若い人に手伝ってもらえるのは今も昔も助かるわー!と買い物に行ってきた僕に言った。

旅館を手伝ってもらっていたのは多分60年前とかそのくらいのお話。

山から松茸を取って持っていくと、買い取ったらしく、学生たちのお小遣い稼ぎにもなっていたみたい。

 

◆記憶を受け継いで篶竹荘をやっていきたい。

・・・とこんな感じで長く建物が残っていると、それだけ建物を介した思い出というかストーリーがあるもんなんだな、としみじみ。

「上條下宿」として50年以上の歴史があるから、篶竹荘の8年という歴史なんてまだまだ短い。

それでも、建物を引き継いだ身としては、建物が持っている記憶を引き継いで、そして後世に伝えていきたいと思って今回は書いてみました。

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